相続

相続について

相続について

人の死によって始まる相続は、人生で誰もが一度は経験するできごとです。今まで法律を身近に感じたことがない人も、家族や親族の死によって、自分の権利は法律ではどうなっているのだろうと、初めて法律を探る機会になるかもしれません。

そして私たち自身もいつの日か天命をまっとうし、また次の相続が始まります。相続にかかる問題、つまり遺産をどのように引き継ぐかという問題は、だれの身にもふりかかる最も身近な法律問題なのです。

これまであなたが大切に守ってきた家や土地は、長いあいだ家族の成長を見守ってきてくれました。また同時にあなたの人生を、ずっとそばで支えてくれたのです。この先もきっとあなたの家族や子孫を優しく見守っていってくれることでしょう。

しかしその財産が、あなたの思いもかけない形で、大切な人たちを争いに導いてしまうとしたら…「穏やかで幸せに満ちた家族のあり方とは…」、そして「皆が納得し幸せになれる相続とは何か…」を私と一緒に考えてみませんか。

3分でわかる相続

相続って?

相続って?

相続とは、亡くなった人(被相続人という)の財産やその権利・義務を法律で定められた人(相続人という)が受け継ぐことです。相続は、人の死によって始まります。
相続人とその取り分(相続分という)は民法で決められていますが(法定相続という)、遺言書がある場合は、遺言書に書かれた内容が優先します。

遺言書がない場合は、この法定相続分をもとに、誰がどのくらい、どの遺産を受け継ぐのかを、相続人の間で話し合いによって決めます(遺産分割協議という)。
全員の意見が整えば、自由に相続財産を分けることができ、その内容を記載した遺産分割協議書を作成しておきます。

相続人は誰?

相続人は誰?

では、相続人には誰がなるのでしょう。
亡くなった人の配偶者は、常に相続人です。そして子どもがいれば、配偶者と子どもがなります。次に子どもがいなければ親又は直系尊属(その親)が、親もすでに亡くなっていれば兄弟姉妹が相続人です。

但し子どもが亡くなっていてもその子ども(孫)がいる場合や、兄弟姉妹が亡くなっていてもその子ども(甥、姪)がいる場合は、代襲相続といって相続財産を引き継ぐこととなります。

この相続人の調査は、亡くなった人の戸籍をさかのぼって調べていくのですが、何十年も前に亡くなった人の場合、放っておいた間に次々と相続人が亡くなり、その結果、数十人に膨れ上がることもあります。調査に1年以上費やすことも稀ではなく、費用も時間もかかってしまうのです。

そして顔を見たこともない他の相続人に連絡をとり、遺産分割協議書に署名押印をもらわなければ、不動産の名義変更等を含む相続手続きはできません。ここから言えることは、遺産分割協議は被相続人の死亡後、相続人間で話し合いのできる相当な期間に行い、次の世代に引き延ばさないことです。

相続財産は何?

相続財産は何?

次は相続財産です。
相続財産は、不動産や預貯金、現金、株券、貴金属のようなプラスの財産と借金や連帯保証債務のようなマイナスの財産があります。相続人は、これらの相続財産を調べて、一体何がどれくらいあるのか、家族の知らない借金はないのか等を確認しなければなりません。

もしマイナスの財産があれば、相続開始のときから、あるいは相続開始を知って3ヶ月以内ならば、相続をしない方法(相続放棄)や、プラス財産の範囲内でマイナス財産を引き継ぐ方法(限定承認)もあります。いずれも家庭裁判所への申立てが必要なので、できるだけ早く調査を始めましょう。

相続税の支払いは?

相続税の支払いは?

平成27年1月1日以降、相続税の基礎控除額や税率等が変更されているため、相続税の支払いを必要とする人が多くなりました。

死亡後10ヶ月以内に申告と納税をすることとなりますが、相続税の計算はとても複雑です。心配な方は、最寄の税務署又は税理士に相談しましょう。

相続についてさらに詳しく

相続手続きの流れ(親の死亡時)

親の死亡(相続手続き開始)

7日以内 死亡届の提出

金融機関や保険会社、社会保険事務所への届出、公共料金の名義変更

相続人は誰になるかを調べる

戸籍を取寄せ調べるので時間がかかる
遺言者がない場合、民法の法定相続人が対象となる
養子縁組した子や先妻の子、行方不明者にも注意

3ヶ月以内 遺産を調べ、相続するかどうか決める

借金などマイナスの財産も遺産であることに注意
不動産、預貯金、株券、現金など財産リストを作ってみる
借金が多い場合など、すべての遺産を放棄することもできる

4ヶ月以内 親の所得税の申告

準確定申告
控除の対象にはなるが、親の分も支払わなければならない

遺産を分ける

● 遺言書がない場合→相続人間で遺産の分け方について話し合う
もめたら家庭裁判所を交えた話合いをする(調停・審判)
全員の合意があれば、好きに分けることができる
⇒合意内容を記載した遺産分割協議書を作成する

● 遺言書がある場合→遺言書の内容を実現する
但し、子、祖父母には最低限の取り分(遺留分)があるので、確認する
遺留分に満たない場合は、1年以内に遺留分減殺の請求をすることができる

遺産の名義変更と不動産の移転登記

10ヶ月以内 相続税の申告と納付

相続税額がゼロの場合も、申告しないと特例は使えない

よくある質問・事例

相続ってどうすればいいのかわからない。

まず第一に遺言書があるかないかが重要となってきます。遺言書がある場合は、公正証書遺言であればそのままの状態で有効となり、自筆証書遺書であれば家庭裁判所に持って行かなければ有効となりません。遺言書がない場合は、相続人間で遺産分割協議を行う必要があります。

昨年10月、母が亡くなりました。兄弟間での遺産分割はいつまでにすべきですか?

民法上、遺産分割をいつまでにしなければならないと言う規定はありません。但し、長い間そのままにしておくと相続人の一人が死亡したりして、相続人や先の法定相続分が変わったりします。更に相続税の申告なども考えると、早めに相続財産を調査して、相当な時期に協議をすべきでしょう。

遺産分割協議をするにも他の姉妹の居場所(住所)がわかりません。どうしたら分かりますか?

あなたの姉妹であれば、両親の戸籍謄本を取得すれば他の姉妹の現在の本籍地が分かると思います。その本籍地がある役場で『戸籍の附票』を取得してみてください。戸籍の附票は、住民票のおかれた住所を順に追って記載したものです。調査が複雑、煩雑な場合は、相続人調査を「専門家である行政書士」に依頼しましょう。 

夫が他界し半年が経ちました。
私たちには子どもがないので寂しさはひとしおでしたが、最近やっと気持ちの整理ができ、夫の兄弟と遺産分割の話をしようと連絡をとりました。
ところが、夫と二人で建てたこの家と土地の権利を主張して、全く譲ってくれません。困っています。

お子さんがいない場合、亡くなられたご主人の兄弟は確かに4分の1の法定相続分を有します。そして配偶者であるあなたの法定相続分は、4分の3です。もし当事者間で話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に遺産分割の調停申立てをしましょう。

先日、5年間自宅で介護を続けてきた義父が亡くなりました。
夫は3年前に他界していて、私と亡くなった夫の間には、現在中学生になる娘が2人います。この子たちに義父の相続権はありますか?

あります。お義父様よりあなたの夫が先に他界しているので、このような場合、代襲相続といって、本来息子であるご主人が受継ぐはずの遺産を娘さん2人が平等に受継ぐことができます。

亡くなった母の遺産は銀行預金100万円だけで、不動産はありません。
父も先に亡くなっているので、相続人は娘の私ひとりです。銀行預金はどのようにして解約できますか。

お母様の出生から現在までの戸籍謄本、そしてあなたの戸籍謄本とお母様の住民票除票を取得します。またあなたの印鑑証明書も必要になると思います。あとは銀行所定の用紙に記入して手続きを行いますので、その他の必要書類も含め、お母様の口座がある銀行に確認してみてください。

お問い合わせ

成年後見制度、相続、遺言、離婚にかかる書類の作成、農地転用、介護タクシーの許可、福祉士施設の開設、契約書、内容証明郵便の作成等
お困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

TEL:0594-32-9115 FAX:0594-32-9108